膵炎を繰り返す犬

以前にもお話ししましたが、昔は、膵炎は治療は対症療法だけ。本人の体力で回復するまで待つ!
ということしかできませんでした。

ですが現在ではブレンダという、急性期膵炎治療薬が発売されたため、死亡率の高い膵炎になっても、かなりのワンちゃんが回復してくれるようになりました。
(猫ちゃんにも適用外使用になり、代謝能力の問題で一日2回のブレンダを打たなくてはいけませんが、高額なのを我慢すれば使用することができます)

ですが、ワンちゃんの中で、ブレンダにより膵炎が治ったのに、何度も膵炎を再発する子がいます。
もう5回位になりますでしょうか。
具合が悪い。検査をすると膵炎が陽性。ブレンダを使用すると治る、の繰り返しです。

予測としては、以前もお話しした通り、猫ちゃんには膵臓から出てくる、膵管が1本しかありません。
そのため、その1本が詰まってしまうと、すぐに膵炎になってしまいます。

ワンちゃんは膵管が2本あるため、1本が詰まってもすぐに膵炎になってしまうことはありません。

ここで、膵炎を繰り返すワンちゃんのことですが、最初の膵炎の時に、膵管がダメになってしまったのではないかと考えています。

要は猫ちゃんと同じ状態、またはそれ以上に悪い状態になっているということですね。

ブレンダは非常に高いお薬でが、治療法が存在する。
それだけでも飼い主さんもこちら側も精神的ストレスは少なくなってくれます。

膵炎はどんなワンちゃん、猫ちゃんでも突然起こってもおかしくない病気です。

ちなみに猫ちゃんは自然に膵炎になってしまう、ということがありますが、ワンちゃんの場合、飼い主さんが脂っこい物を食べさせた、ゴミ箱をあさって、油の塊を食べてしまった、などで起こることが多いです。
珍しいところでは、チョコレートを食べたけど、ホワイトチョコレートでカカオが入っていない、量も少ないから問題無いだろう、と思っていたら、チョコレートの油分のせいで劇症型膵炎(劇症型は急激で、凄まじいダメージを与える病気に付く定冠詞です)になってしまって亡くなってしまった子もいます。

膵炎に一度なると、再発することがある、と言われていますが、冒頭でお話ししたワンちゃんはかなりの頻度で膵炎を起こしています。
おそらく膵管が両方共詰まりやすくなっている、などの状況にあるのでしょう。

膵炎は見つけにくい病気です。
お腹を痛がる子が多いですが、それも絶対ではなく、お腹を触って痛がった!と思ったら、椎間板ヘルニアだったこともあります。

初動が重要なのですが、本当に発見が困難です。
その中でも原因らしきものがわかっていると、とてもありがたい。
上記の様なことがあった、ということを覚えておいていると診断の役にたちます。

突然起こる膵炎。
非常に恐ろしいものですが、今では強い味方も存在します。
極端にお腹を痛がったりするのは分かりやすい兆候ですので、色々と覚えておくと良いでしょう。

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