椎間板ヘルニアと思ったら?珍しいズレた骨(その後の状態を付け足しました!)
痛みを訴えているが痛みの場所がわからず、痛み止めを使用しても痛みが引かない。
そんなワンちゃんが来院しましたが、触診してみると、どうやら腰が痛い様子。更には傷みでずっとチカラを入れているのか、腰の横の筋肉が異常なほどに発達して、肥大していました。
痛い所はわかったので、痛み止めが効果ない、ということから、レーザー治療を行ってみました。肩こりや筋肉をほぐす、痛みそのものを和らげる効果があります。
レーザー治療が効果があるようなら、しばらく通院してもらえるよう話しましたが、時間的な余裕がなかった様子。
一週間たった今日、再診に来てくれました。
痛みは全く変化なし。
というわけで、レントゲンを撮影すると、珍しいことに、腰の骨がズレて、前と後ろの骨がこすり合っている状態になっていました。
麻痺が出ていないのは不幸中の幸いですが、以前にも同じ状況になった子は、痛みが完全に引くのに2ヶ月もかかっています。
本来、ワンちゃんが椎間板ヘルニアを起こしやすいのは、胸部椎骨の一番後ろ、13番目と腰部椎骨1番目の間にある椎間板で起こりやすいのですが、
今回椎間板ヘルニアを起こしたワンちゃんは腰部椎骨最後の7番目と仙骨という、そのすぐ後ろにある骨の部分で起こっています。
場所的にも椎間板ヘルニアが起こるのは珍しい所です。
まず、普通の椎間板ヘルニアの写真がこれ。
左右の骨同士の空間と比べて狭くなっているのがわかりますでしょうか。
こういう場合、痛みが強かったりすると、前と後ろの骨を金属プレートで動きを止めて、痛みを取る、という手術も可能です。
今回来院したワンちゃんの椎間板ヘルニアはこうなっています。
骨が曲がって、骨の下側同士が当たって白く写っています。
手術で痛みを取るとしたら、骨を削る必要があるでしょうが、もし骨を削って骨同士のバランスが崩れたら、脊髄損傷を起こして後ろ足麻痺が起こりかねません。
さっき言っていた、骨同士をくっつけるのはどうなのか、ですが、場所的にジャンプするとプレートが割れたり、骨がかけたりする可能性がありえます。
時間が経てば、骨同士が勝手に癒合(勝手にくっついて治る)するでしょうが、それまでの間は痛みが続くでしょう。
ただし、この骨の角度のおかげで、椎間板ヘルニアによる、脊髄損傷は怒らなかったのだと思います。
触診してみると、特に本人は痛みを訴えず、動いたり、抱いたりすることで痛みを生じるようなのですが、人間なら安静にするように伝えられても、ワンちゃんは理解することができません。
特によく飛び跳ねているワンちゃんだったので、なるべく早く癒合してくれることを祈るばかりです。
★
その後の状態ですが、2ヶ月もかからず、二周間ほどで痛みが引いてくれました。
恐らくは擦れた状態から、ガッシリと骨同士がくっ付いた感じになったんだと思います。
病気自体も珍しいですが、改善の仕方も珍しい症例でした。
本来なら数ヶ月かかる痛みが数週間で治ったのは、本人にも飼い主さんにとっても、かなりラッキーだったと思います。
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