最近はすっかり見当たらなくなった寄生虫達

僕が獣医になった、18年前でさえ、結構見当たった、コクシジウム、鞭虫、鈎虫なんかはすっかり見当たらなくなりました。

コクシジウムは基本的に、ブリーダーおよびペットショップがしっかりと管理していれば、そもそも購入したペットの便に現れることはありません。

鞭虫、鈎虫はよくお腹を下すようにしたりする、嫌な寄生虫でした。

特に鞭虫は犬、猫が便をした後、環境中に3ヶ月も卵が残り、感染を広げやすい傾向にあったのですが、近年、フィラリア予防薬にこれらの寄生虫も一緒に退治する成分が入ってきたため、めったに見ることが無い寄生虫になっていきました。

一方で、今でも良く発見する寄生虫は回虫、瓜実条虫などが挙げられます。

回虫は先ほどの鞭虫などと同じく、新しいフィラリア薬によって退治されるタイプの寄生虫なのですが、この虫の厄介なところは、腸にまで行って、成虫になった虫だけ、やっと薬で退治される、という点です。

回虫は名前の通り、全身を回っており、肝臓や筋肉、肺などに寄生している場合は薬が効きません。
また、感染経路が変わっていて、胎盤感染や乳汁感染という、親から赤ん坊に寄生するため、感染を回避できないのが特徴です。
ただし、見た目は気持ち悪くても、寄生したワンちゃん、猫ちゃんに害は与えないのも特徴です。
(かなり昔は、感染数が多すぎて、腸に詰まって腸閉塞を起こすこともあったようです)

ただし、便と一緒に外界に出た卵が、時間が経って感染できる状態になった物を、人間の口に入ってしまうと、全身のどこにでも感染し、脳や肺、筋肉や肝臓などにダメージを与えてきます。
ワンちゃん猫ちゃんと違い、人間には害の大きい寄生虫な訳です。

瓜実条虫は猫ちゃんで頻繁に認められる、サナダムシの一種です。
何故猫ちゃんで多く認められるのかというと、ノミが媒介するためです。

瓜実条虫が体内に存在するノミに感染し、グルーミングで食べてしまうと、感染成立。
お尻から、1センチ程のウネウネした虫が出てきたり、名前の通り瓜の種の様な、ゴマ粒みたいな物が便と一緒だったり、そのまま肛門から出てきたりします。

こちらもワンちゃん猫ちゃんに害はありません。

厄介なのは駆虫方法でしょうか。
昔は注射薬が存在していたのですが、現在は内服薬のみ。
しかも、投与しなければいけない薬の大きさがとんでもなく大きいのが特徴です。

この間も、薬が大きすぎて一気に飲ませられないため、分割して与えていたら、次第に猫ちゃんも嫌になったのか、咬まれてしまいました。

と、言う訳で、現在まで頻繁に認められる寄生虫はほとんど害が無いものがほとんどです。
あえて言うなら、卵を放置した回虫の人間に対する被害でしょうが、糞をちゃんと片付けておけば、特に問題ありません。

ペットを飼育している皆さんがちゃんと駆虫をしているおかげで、ここまでになったわけです。
ただ、田舎の方ではまだまだ、危険な寄生虫は存在しています。

先日紹介したエキノコックスもいつ本州に入り込んでしまってもおかしくありません。

もう大丈夫、と思わず、しっかりと駆虫を続けていくのが一番でしょう。

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