薬用量。人間との違い
まだ僕が代診だった頃の話ですが、ワンちゃんの治療薬として、適切な用量を出し、また次回、再診の予定を組んでいた人がいました。
ですが、その人は、ワンちゃんにお薬を与えずに、こんなものを処方するなんて、どういうことだ、とクレームをつけてきたんです。
どういうことでそんなことを言ってきたのか、何で調べたのかを聞いたところ、医者(人医)に聞いたとのことでした。
その医者は、そんなに投与するなんてあり得ない!投薬をやめるようにまで忠告してきたそうです。
たまにこういう人がいますが、ワンちゃん、猫ちゃんは人とは違う動物です。
まず、体が小さいため、人間より代謝が早く、使用する薬の用量が多くなることが良くあります。
また、薬に対して、人間ほどには反応しない薬なんかもあります。
猫ちゃんはステロイドに対して抵抗性が強く、人間の体重と比較した量を飲ませても、全く効果が出ることはありません。
そのため、人医ではびっくりするほどのステロイドを出すのですが、猫ちゃんはステロイドに対する副作用も出にくいという特徴があります。
薬の中にはやはり薬用量がわからない物もあり(人間では知られていても、他の動物ではまだわかっていないもの)、以前はとんでもない量を投与すべき、とされていた薬なんかもあります(代表的なのは、クッシング症候群の薬の、トリロスタン。発売当初は死亡例が何件も出るほど、高濃度で投薬されていました)。
当院では基本的に、海外であんぜんが認められているものや、なるべく国内で良く使用されているものしか使用しないようにしています。
もし知り合いの医者が、親切心で何か言ってきても、獣医師自体にちゃんと話しを聞き直してみましょう。
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