悪性のガンはどのくらいで転移する?

ガンの中には、発生した時点で、どんなに小さくても、取り切ることが出来ない上に、再発や転移が確実で、抗癌剤も効果を示さない癌、というものも存在しています。
しかし、腫瘍の中には、ある一定のサイズを超えたら危険!と言われる物のほうが沢山存在しているのは確かです。

主に乳腺腫瘍や背中にできる毛包系(毛穴が由来)の腫瘍などがそうですね。

ただし、猫ちゃんの乳腺腫瘍なんかはどんなに小さくても、できた瞬間から悪性のことが多いため、様子見するようなことはせず、見つけたらすぐに切除することが勧められています。

他の腫瘍はどうでしょう。
どのぐらいの大きさになるまでに取った方が良い、と言うと、どの腫瘍も基本的には2〜3センチになる前には取った方が良いと言われています。

悪性腫瘍の場合、腫瘍の種類により、2センチや3センチから転移する確率がグッと高まるのだそうです。(2〜3センチと幅があるのは、何ガンかにもよって、転移しやすさがかわるからです。しかし、基本2センチを超えるまでに切除するべき、と思っておくと良いでしょう)

もちろん最初に書いたように、絶対ではありません。
一番最初に記載したように、中にはとんでもない腫瘍も存在していて、ゴマ粒大の瘤が見つかったと思って切除しても、もういくらでも再発、転移を繰り返す腫瘍も存在しています。
しかし、手術をするのが可愛そうだから、高齢だから、と諦めてしまうのはとてももったいないことだと思います。
特にお腹の中の腫瘍ではなく、体の外の腫瘍なら、体のダメージが少なく切除することもできます。
鎮静と局所麻酔だけで取れるような小さな腫瘍なのに、取ることを止めて、そのうち大きくなりすぎて表面が破裂し、家じゅう血だらけ、見るのも痛々しい状況になってしまった子や、関節部にできた腫瘍で、早く取れば問題なかった物が、関節内まで入り込んで歩けなくなり、その上ウジが湧いてしまったりした子もいます。

腫瘍ができると、すこし様子を見たいという飼い主さんが多いのですが、様子をみるとしても、3センチを超えるようなら手術を考えるように伝えています。(3センチ以上になってもそのまま放置して、肺に転移して亡くなってしまう、という方がかなり多いのが実情ですが)

上記のものはあくまで腫瘍の一部の例です。
腫瘍はそれぞれ、独特な問題を持っています。

ですがどの腫瘍も、なるべく小さい時に取れば転移もせず、その後が安心であることが多いのは確かです。

当院では飼い主さんの希望で、腫瘍ができていても様子見することが多いですが、なるべく早く切除するに越したことはないんです。

お飼いのワンちゃん、猫ちゃんのために、手術は痛そうでかわいそう、ではなく、将来、壮絶に苦しむことにならないように、早めの処置をしてあげよう、と考えるようにしてあげてください。


追記

ちなみに昔は良性の腫瘍も、時間が経過すると悪性になる、と思われていたのですが、良性の腫瘍はそのままどんどん大きくなってしまうことはあっても、悪性転換することはほぼないことがわかってきています。

昔、腫瘍は手術しなくても死ぬことはない、などといった本を出版して一時期有名になった医者がいますが、それはあくまで良性の腫瘍のことです。
悪性の腫瘍でも死ぬことが無かったら、この世に癌で死ぬ人が沢山いることに説明がつきません。
当院院長の従兄弟が亡くなることも無かったでしょう。

Appleの創始者、スティーブ・ジョブズも手術せずにスピリチュアルな癌治療法を行ってしまい、手術すれば助かったタイプの腫瘍だったのに、医者を信じなかったことで亡くなりました。

切除するまで良性か悪性なのかわからない物も多いですが、小さければ小さいほど安全に手術でき、かつ転移や再発を起こしにくいことを覚えておいていただくと良いかと思います。

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