フィラリアの危険性について、まともに考えていない人が一定数いるので、詳しく書かせていただきます。
以前もお話したように、昔と異なり、フィラリアは大量感染を起こさなくなり、少数感染で済むようになりました(大日町で大量感染を起こして亡くなった柴が数年前にいたので、こてはし台は、というところでしょうか)
そのせいで、フィラリアは大したことがない、フィラリアに感染してもすぐ治る、と言った、とんでもない発言をして来る患者さんがいらっしゃいます。
実際には先ほど記載した通り、大日町の方では大量感染を起こして手術が必要になった子が、この病院を開業してから1頭だけいます。
経静脈的を切り裂いて、そこから心臓までフィラリアを取り去ることのできる器具で抜き取ります。
ちなみにこの時、完全にフィラリア全部を取りきることは不可能です。また、どうやっても三尖弁という、血液の逆流を防ぐ門のような所に傷がついてしまいます。
少数感染も大したことがない訳ではありません。
予防をしないことで、常に肺動脈という、肺に血液を送り出す血管が傷つき、血管が狭くなります。そして段々と呼吸がしづらくなっていきます。
この微妙な肺動脈のダメージというのが厄介で、基本的にフィラリアを退治しても、将来的なダメージが心臓や肺に残ります。
この傷は肺動脈の圧力を徐々に高める傾向があり、肺高血圧症という病気を引き起こします。
この病気は、これと言った良い治療法がありません。
バイアグラが肺の血管を広げる効果があるのですが、覚悟が必要なほどに高額です。人間のバイアグラと異なり、保険も聞きませんので、すさまじい値段になってしまうことを理解することが必要です。
実に、あの時予防しておけば良かったと思うでしょう。
また、突発的に、右心不全を起こすこともありえます。
こちらも治療方法はバイアグラになります。
フィラリアの予防なんていらない、とか、獣医の決めた期間内にお薬をしっかりと飲ませない方は、ワンちゃんが死んでも構わないとか、フィラリアなんてかからない、と思っているのでしょう。
前々から何度もお話していますが、それは近所の方がフィラリア予防をしっかりして、感染源を減らしているためです。
でも、実際にはこてはし台団地は内山町、横戸町、大日町という、感染源が多い所と隣接しているため、いつ感染してもおかしくないのです。
ちなみに先ほど例に挙げた、数年前にフィラリアの大量感染を起こしたワンちゃんは、治療が遅かったため、治療後も右心不全が残ってお亡くなりになりました。
その際、ご家族は泣いていましたが、そのワンちゃんは中型犬だったため、毎年1500×7=10500円で死なせることなく、元気でいさせることができたはずなんです。
一月たったの800円、高くても2000円で死ぬほどの病気が予防できるんです。
かなり昔は予防薬も存在せず、ワンちゃんの平均寿命は10年いかないほどでした。
せっかく長く生きさせることができるようになったのに、勿体ないと思わざるを得ません。
最近はフィラリアのお薬に、オールインワン(ノミ、マダニなども駆除可能)の物を購入している方もおり、その場合はお値段も高くなります。
ですが、フィラリア予防だけを目標にするなら、よっぽど巨大なワンちゃんでない限り、先ほどの記載通り、800〜2000円で命を救うことができる。
中にはずっと家にいて蚊に刺されないから、今まで予防しなくても、フィラリアにかかったことないから、そんな理由で聴診器を当ててみると、心雑音が聞こえ、心エコーをするとフィラリアに感染していた、なんてことはしょっちゅうです。
大体1匹、2匹の感染なので、内服治療で治すことができますが、
フィラリアに感染しちゃいましたね、と話して、え!今まで感染しなかったのに!というセリフを聞くと、何を言っているのかと思ってしまいます。
そんな当たり前のことも、わからなくなっているんです。
予防しなければ、いつかは感染、発症する。
当たり前のことです。
皆さんはしっかりと予防してあげて下さいね😁
あと、フィラリア予防をしない人は、このブログを見ないかと思うので、模試お知り合いにいたら、このブログの内容を教えてあげていただけたら、と思います。
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