前田利益（慶次）と豊臣秀吉

前田慶次、結構ほとんどの人がご存知ですよね。

そう、天下御免の傾奇者、豊臣秀吉が将軍になった際に、本当に天下御免、の称号をもらった傾奇者です。

つまり、日本中、どこでもいつでも傾奇通すことを許された人物です。

(ちなみに傾奇者とは、変わった格好好んで、派手な身なりで、めちゃくちゃな行動をする人物達のことです)

では、なぜそんなことになったのか。

とある日、豊臣秀吉は前田家にとんでもない傾奇者がいる、と聞き、前田慶次を呼び出しました。

その際、特にただ呼んだだけではつまらないので、「何かそれらしい格好でやって来い」と命令されました。

この時、前田慶次は確かに変わった格好をして豊臣秀吉の前に参じたのですが、周りに驚かれたのは、髷(まげ)を頭の横に結っていたんです。

そして、慶次はさらに皆を驚かせました。

そう、髷を縦になるように横を向き、秀吉に拝礼したんです。

つまり、拝礼はしててもそっぽを向いている状態です。

秀吉はこの慶次のユーモアたっぷりの行動に喜んで、慶次に馬を一頭プレゼントしました。

そして、「もっと変わった方法で自分を驚かしてみせよ」と命令したんです。

そして、慶次は、今度は上から下までしっかりと完璧な服装に着替え、髷を結い直し、丁寧に馬のお礼をしました。

あえて傾奇者としてではなく、真面目な態度をとったわけです。

これには周りの皆も、秀吉も感心し、天下御免、いつでもどこでも傾いて良し！という称号をいただくことになりました。

流石！としか言いようがありませんね。

最初に傾奇者として、たとえ相手が秀吉でもまともに頭は下げぬ、というような行動を取ってから、今度はしっかりとした格好で真っ直ぐに拝礼し、馬のお礼をしてみせた。

慶次は慶次で、それまで散々、年長者にいたずらしたり、妻と子供を置いたまま、家を飛び出して遊んで暮らしていたりしたのですから、前田家の人間からすれば目の上のたんこぶみたいな存在だったのだろうと思います。

それが、天下御免、の称号をもらって傾奇者でいても良い、と一番偉い秀吉に許されちゃったのですから、前田家も大変ですね。

ちなみに前田家は最初は織田信長の家臣として使え、その後、豊臣秀吉に使えた、メチャクチャ地位の高い武家です。

漫画、花の慶次はフィクションですが、天下御免とまで言われる前田慶次は本当にいた訳です。

捨てられた家族はたまったもんじゃ無いですけどね。