アメリカでの猫ちゃんのワクチン事情

日本では狂犬病が蔓延していないこともあり、ワンちゃんは狂犬病の予防注射が必要ですが、猫ちゃんは打つ必要がありません。

ですがアメリカでは猫ちゃんも狂犬病の予防接種義務が存在しています。
そこら辺に狂犬病を持った野犬などが存在しているからです。
なんなら、そこら辺のコウモリやリスも狂犬病にかかっていることもあります。

狂犬病に罹患したコウモリやリスが自分から噛み付いてくることはまず無いでしょうが、見た目がかわいいリスや、狂犬病で弱ったコウモリなんかには、小さい子供は近づいて行ってしまうかもしれません。

さて猫ちゃんですが、ワクチンに関して、アメリカ基準では混合ワクチンは左足のかかとに注射するそうです。

なぜこんな所に注射するのかというと、数万頭に一頭くらいの割合で、遺伝的理由でワクチン接部位肉腫、という特殊な癌を引き起こす猫ちゃんがいるためです。
ちなみに僕は14年間ワクチンを注射して、ワクチン接種部位肉腫になってしまった、という猫ちゃんを、他院の猫ちゃんで一匹見たことがあります。
肩甲骨から首まで大きくなって、どうしようもなくなったために、安楽死した場を一緒に見させてもらいました。(オーナーが協力的で、未来の獣医にも色んな病気を知ってほしいという方でした)

僕自身の獣医歴では一度も遭遇したことがなく、ただ一匹、他院でワクチンを肩甲骨の辺りに注射して大きな瘤ができた!と来院し、ワクチン接種部位肉腫かもしれない、と思ったら、ただのワクチンによる炎症で、すぐに小さくなっていった例のみ診たことがあります。

当院ではアメリカの基準に習って、左足ののふくらはぎにワクチン注射をさせていただいています。
かかとは痛みが強くて暴れる子が多いのと、もしもの時の足の切除後の生活レベルは、足首先を取るのと、膝から先を取るのとほとんど変わらないためです。

アメリカでは、左足のかかとに混合ワクチン接種を、右足のかかとに狂犬病予防接種を行うようてすが、
統計によると、右足にワクチン接種部位肉腫が発症することが、断トツで多いようです。
つまり、狂犬病予防接種に反応して腫瘍ができることが多いということですね。

また、上述で遺伝が関係している、と言ったのは、とある日本の獣医さんの話しなのですが、混合ワクチンは左足に打つ、というところをどこかで勘違いしたのか、毎年交互に左右の足にワクチンを接種する、ということをしていたところ、両足にワクチン接種部位肉腫が発症してしまったそうです。

遺伝が関係無ければ、そもそも数万頭に一頭の発症率のため、両足に発症する、ということはまずあり得ないでしょう。

今回のブログを見て、ワクチンが怖い!と言う人もいるかもしれませんが、ワクチンを打ってない状態での猫伝染性鼻気管炎(猫カゼ)の症状は強力で、
ただでさえクシャミ鼻水、並だなどが酷いのに、その後、ウイルスとばい菌が目の涙腺、鼻涙管、鼻腔などを改造し、一生を常に酷いカゼ症状のままにしたり、酷い口内炎による、食欲不振による死亡、一生続く口内炎、などの色んな症状を引き起こします。
実際にワクチン接種部位肉腫を発症する子の割合より、猫カゼで死亡する猫ちゃんの方が多いです。

ワクチンを打たずに飼育している多頭飼いの方の猫ちゃん達が毎年何頭も亡くなっていますので、感覚的てすが間違いないでしょう(あまりにも肺炎にまでなって死亡するので、ワクチンを接種して上げて欲しいと思ってはいるのですが……)。

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