未だに起こりうる、農薬によるワンちゃん猫ちゃんの中毒事件(修正版)

今でこそめったに起こることはなくなりましたが、ワンちゃん、猫ちゃんが道端に置かれていた魚を食べて倒れた、という事件が起こることがあります。

これは何が起こったのかというと、ワンちゃん、猫ちゃんに、自分の敷地である畑に入ってもらいたくない、という理由で、農薬を魚や肉に混ぜて畑の側に置いておく農家さんがいるため、それを食べてしまう子がいるためです。

ワンちゃんであれば、散歩中何かを食べた、ということで原因がわかることが多いですが、猫ちゃんの場合、原因がわからずに死んでしまうことも良くあります。

今現在の農薬は即効性が高い代わりに、環境に残らないような物が使用されています。

問題なのは、農薬にも様々な種類があるということですね。

良く使用されるものとして、有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系が挙げられますが、有機リン系、カーバメート系は拮抗薬があり(PAMと言います)、すぐに治療に取りかかれば、死をまぬがれることができるかもしれません。それでも確実では無いのですが。

おもに呼吸筋が働かなくなり、呼吸がうまくできなくなる、という症状から、酸素室を使用したり、
筋肉の収縮を正常に戻すために、アトロピンという薬を使用することも重要です。

一方で、ピレスロイド系は哺乳類に害を与えません。
蚊取り線香の成分、というとわかりやすいかと思います。

ですが、中には悪意を持って、これを食べさせようとする人もいるでしょう。

また、それこそかなり昔、35年ほど前の話でしょうか、自動販売機の中に、パラコートという農薬を入れたジュースを置いておき、それを飲んでしまった人達が死亡した、未解決事件があります。

今でこそ、自動販売機に置いてあったジュースを飲んだりするな、と言えますが、当時13人の人がこのパラコート入りジュースを飲んで死亡しています。

現在、このパラコートは販売中止になっており、これによる中毒症状は診たことがありませんが、地獄のような苦しみをうけると言われています。

パラコートを飲んだ直後は、全くの健康体に見えます。
しかしこの薬は徐々に肺の細胞を破壊していき、少しずつ少しずつ、呼吸が出来なくなるような効果を持っています。

最終的には人工呼吸器も効果を出せず、息が出来なくなって死亡する、という恐ろしい農薬です。

以前働いていた、並木動物病院の院長は、このパラコートを飲んでしまったゴールデンレトリーバーを診たことがあるそうですが、どんな治療も通用せず(そもそも治療不可能なため)、少しずつ呼吸が出来なくなっていくのを見ていることしかできなかったそうです。

現在はこのパラコートは存在しませんが、他の農薬は普通に使用されています。
よく、農薬を使用しないオーガニック野菜を食べるべきだ!という方もいますが、もやしもん、という昔流行った漫画の中で、農薬は害悪、と考えている人達に、農薬を使用しない野菜作りをしてみましょう!
という企画で野菜作りをしてもらったところ、あまりの大変さに、こんなの農薬を使った方がいいだろ。という意見が出てしまうほどだったそうです。
それ程、野菜作りは大変ということですね。農家さんに感謝して食べましょう。


実際、農薬を使用して育てた野菜が健康に悪いかというと、そんなことはありません。農薬を使用した方が良い、農薬を使用しない方が良い、とどちらの結果とも出た論文も存在しているため、実際に使う、使わない、はあまり意味のないことだと思っています。

問題はそんな危険な物を、自分の敷地に入って欲しくないから、という程度、殺害目的でそれをばら撒く人が、昔程ではないにしても僅かに存在しているということです。

そんなことをする人間にこちらから止めるよう伝えても無駄なので、ワンちゃんを散歩する時は進行方向をよく見て、変なものが無いか、確認してあげましょう。
猫ちゃんの場合、良い予防法が無いのがネックでしょうか。

いずれにしても、他人の悪意というのはどこにでもありますので、気をつけて欲しいとしか言いようがありません。

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