フラットコーテッドレトリバーの組織球肉腫
一つ前の話で記載したフラットコーテッドレトリバーの組織球肉腫。
名前は若齢犬によく出てくる組織球腫は何と珍しい、自然に消えてしまう腫瘍とよく似ています。
遺伝的な要素も合わせて、ほぼフラットコーテッドレトリバーにのみ認められます。
この腫瘍の厄介な所は、肘、膝、肩、股関節など、重要な関節に発生するという所です。
肘であれば、前足ごと取ることはできますが、前足は体重を大きくかける場所なため、その後の歩行は困難になります。
肩、股関節の場合は場所から言って切除することができません。
唯一膝の場合、足の根本から切除すること、その後の歩くこともできるのですが、大問題があります。
この腫瘍は、見つかった段階でまず確実に他のどこかに転移しているのがほぼかくじつなのです。
つまり、腫瘍は切除が重要、と言ったことが全く通用しないのです。
以前、このフラットコーテッドレトリバーを飼育している方が、当時まだ代診をしていた病院に関節の腫れを理由に来院されたことがありましたが、先ほどの記載の通り、短期間でお亡くなりになってしまいました。
その飼い主さんは腫瘍を治せなかったことを、その僕が当時働いていた病院の院長に、恨むとまで言ってなじっていましたが、病院のスタッフであった僕は、当然ながら理不尽だと思っていました。
はっきり言って、この病気が怖いなら、フラットコーテッドレトリバーは飼うべきでない、というくらい発生率も高いのです。
フラットコーテッドレトリバーは黒い毛色の、ゴールデンレトリバーとラブラドールレトリバーの間くらいの毛の長さを持った大型犬です。
愛想も良く、人によく慣れるので、この病気をわかった上で飼育する方もいますが、早い別れが来る可能性が高いことを理解して飼ってあげてください。
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