フラットコーテッドレトリバーにできる、組織球肉腫
フラットコーテッドレトリバーは見た目は黒い毛を持ったゴールデンレトリバー、と言った感じの外見をしていますが、実際のところ、ゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバーとはかなり血筋?が離れている犬種です。
この犬種が非常にかかりやすい腫瘍があって、それが組織球肉腫とか、組織球性肉腫と呼ばれる腫瘍です。
主に関節にできる腫瘍ですが、フラットコーテッドレトリバーの場合、関節が膨らんできたと思ったら、もう組織球肉腫だと思っていいほどに、発症しやすい腫瘍です。
大体、最近ビッコをひいてきた、ということで来院することが多いです。
また、厄介なことに、関節が膨らんできたとわかるくらいになった時点で、ほぼ100%転移しており、手術による完全な治療は不可能と言われています。
組織球肉腫は何もしなければ、余命3ヶ月ほど。
抗がん剤のみの治療で、訳4ヶ月の余命、一ヶ月程しか寿命を伸ばせません。
瘤のある関節を足ごと断脚して、その上で抗がん剤治療をした場合、余命1年程と言われています。(あくまでその子その子で余命は大きく変わります)
運良く転移していなければ3年ほどの余命が見込める、と言われています。
(この転移しているかいないかは、中々判別が難しいです。MRIで肺などに転移が認められなかったとしても、断脚し、抗がん剤治療をして、2年以上生きたから転移していなかったんだろう、と予測できるような感じです)
ただし、これらの余命期間というのは他の犬種も含めてのことで、上記のように、フラットコーテッドレトリバーの場合は来院した時点で転移を起こしていることがほとんどなため、断脚、抗がん剤治療をしてさえも、中央生存期間4ヶ月、というのが普通です。
(中央生存期間というのは平均とは違うのですが、ここで説明すると長くなってしまいますので、ネット上で調べていただければ良いかと思います)
また、断脚に関してですが、後肢一本なら段々慣れていき、上手く歩けるようになることが多いですが、前肢の場合、手術後まともに歩けるようにはならないことが全んどです。
フラットコーテッドレトリバーの組織球肉腫は関節にできることがほとんどですが、脾臓や肝臓などの内蔵にできることもあり、その場合、一ヶ月程しか生きることができないようです。
このフラットコーテッドレトリバーの組織球肉腫は、フラットコーテッドレトリバーの宿命と言っても良いほど、発症しやすいもので、以前当院に来院した、ずっとフラットコーテッドレトリバーを飼い続けている、という方も、足の関節が腫れてきた時点で長く生きたことは無い、と仰っていました。
手術や抗がん剤による治療でも、余命を僅かにしか伸ばせない病気。
ご家族からの希望があれば、腫瘍化専門医に診ていただくことになるかと思います。
正直難しい腫瘍なため、下手な治療方法では逆に余命を短くしてしまうこともあり得る物です。
もし、これからフラットコーテッドレトリバーを飼育したい!という方は上記のことを良く理解して飼っていくことをお勧めします。
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