誤嚥性肺炎とエラスポール

当院では椎間板ヘルニアの治療薬として使用しているエラスポール。
このエラスポールはもともと炎症を抑える効果があり、椎間板ヘルニアが起こった際に、椎間板が上に突き出て、脊髄を圧迫した後に起こる炎症を抑えることで、脊髄のダメージを軽減。回復を早めてくれます。

ここで椎間板ヘルニアの問題点を説明させていただきますと、まず第一に、椎骨と椎骨が互いに寄ることで、その間に存在している椎間板が圧迫されて、上に突き出します。
まず、この、突き出た椎間板により、脊髄がダメージを受けます。

ですが、それ以上に問題となるのが、椎間板が脊髄に当たって、炎症を起こしてしまうことです。

ダメージを受けた部分に白血球が集まるのは、本来当然のことなのですが、椎間板ヘルニアにおいて、白血球が集まって、炎症を起こすことで、脊髄に余計にダメージを与えてしまうことになってしまいます。

手を怪我した時などを思い返してみると良いかもしれません。
コケたりして、まず擦過傷が起こります。
この時はまだそこまで痛くはないでしょう。
ですが、しばらくすると、キズが段々腫れて来て、痛みも出てきます。感染を起こしていたならともかく、これは余計な炎症に当たる訳です。

エラスポールは椎間板ヘルニアが起こってから、その後の炎症を抑えることで、さらなるダメージが脊髄に起こることを押さえてくれます。

ちなみにエラスポールを椎間板ヘルニアに使用してみることを研究し、実際に効果が得られることを発見したのは、以前も記載した、椎間板ヘルニアの手術の権威の岸上先生という方でした。
「この治療法をもっと早く見つけられていれば、手術を行わなくて良い患者は相当にいただろう」という発言をしていらっしゃいます。

ちなみにこのエラスポールはもともと誤嚥性肺炎の治療薬。
ですがそこまで治療効果が高くないのが現状です。

他にも体全体の炎症を抑える薬として、急性膵炎の治療薬であるブレンダが存在しています。

誤嚥性肺炎や腹膜炎などにも状況次第でエラスポールやブレンダを使用してみることで、症状の改善が見込めるかもしれません。

あくまで可能性の話ですが、両薬とも、高額であるため、飼い主さんと相談しながら使用していこうかと思っています。

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