重症筋無力症

名前だけ見ると、すごい病気に思えます。
もちろん、危険な病気です。

完全な重症筋無力症はその名のとおり、全身の筋肉に力が入らなくなり、動くことができなくなってしまいますが、そこまで行かないレベルだと、疲れやすい、息苦しい、顔の筋肉が垂れて、老けて見えるなどの症状がでます。

獣医療では、ワンちゃんがかかりやすく(とは言ってもかなり珍しい病気です)、特に食道拡張症(食道が伸びて、下に垂れ下がる病気です)などを起こして、餌が食べにくい、餌を食べても人間と異なり、直立性していないため、食道内に大量の餌が流れずに残り、吐いてしまう、同様に、ヨダレが胃に流れずに食堂に溜まってしまい、場合によっては肺に流れ込んで、誤嚥性肺炎を起こすこともあります。そのため、直立させて餌を食べさせる、などの工夫が必要になります。

こんな感じですね。

原因としては、本来神経伝達を司る、アセチルコリンという物質がしっかりと放出されなくなり、アセチルコリンを受け取れなくなった筋肉が動かなくなるために起こります。

鑑別診断はそんなに難しくなく、エドロホニウムという抗コリンエステラーゼ阻害薬、という、アセチルコリンを分解するのを防ぐ薬を注射することで、アセチルコリンがたくさん集まり、神経伝達がしっかりと起こり、筋肉が動かせるようになります。

ただし、このエドロホニウムの効果時間は短時間で、すぐにまた動けなくなってしまうのですが。

そのため、治療法としては、このエドロホニウムの同様の効果のある抗コリンエステラーゼ阻害薬の内服を投与したり、ステロイドを使用したりします。

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