腎不全に使用する薬。
人間は腎不全になると、人工透析を行うことにより、体内に溜まった毒素を排除することができます。
ではワンちゃん猫ちゃんの場合はどうするか、に関して説明しようと思います。
まず、腎不全までは行っておらず、初期の腎臓障害(軽度の腎臓の機能の低下)の場合、腎臓の負担を取るための、尿毒素の分解、腎臓にダメージを与えるリンを取り除くサプリメントであるカリナールコンボ、
腎臓障害を起こすと血圧があがり、さらに血圧が高いと腎臓への負担が高まるため、血圧を下げる効果と、血流を腎臓に集めて尿毒素の生産を抑える効果のあるACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬またはARB(アンジオテンシン拮抗薬)などを使用します。
継の段階とも言える、血液検査でクレアチニンという項目が高くなった時。
この値が正常値を超えると、腎臓の機能はもう25%を切っています。
この段階で使用するのがベラプロストナトリウム。通称ラプロスです。
これも腎臓への血管を広げるのですが、前述のACE阻害薬などと異なるのは、腎臓の前側の血管と、後側の血管の両方を広げる効果があるという所です。
ACE阻害薬は前側の血管しか広げることができず、腎血流や尿毒素を流す効果がラプロスより劣ります。
じゃあ最初からラプロスを使えば良いのでは?というのもあります。
実際に最初からラプロスを使用しても問題は全くありません。
ただし、ラプロスの方がずっと値段が高いというところが問題でしょうか。
では、腎不全の最終段階。
本人の元気も無く、食欲もなくなった場合どうするか。最終段階と言っても良いです。
こうなると皮下点滴をしに通院してもらうことが多いです。
皮下点滴とは人間と異なり、ワンちゃん猫ちゃんの皮膚の下がゆるく、リンゲル液を入れても痛みが無く、一日も経てば吸収して尿毒素とともに尿を出すため、完全に尿毒素が体中に回っていても、回復してくれることが多いです。もちろん治らない子もいます。
さらに問題なのは、残りの一生をほぼ毎日点滴しなければいけなくなることでしょう。
こういう子のために、当院ではお家で点滴できるように練習してもらうこともあります。
それが不可能で毎日通院する方の方が多いのは確かですが。
ですが、腎不全にさせないためには早期発見が一番でしょう。
尿の量や回数が増えた、飲水量が増えた、などで見つかることが多いため、そういう症状が出たら、血液検査をしてみると良いでしょう。
腎不全は人間と同じで一生ものです。
ワンちゃん猫ちゃんには腎移植なんてありませんし、人工透析も大学病院などで麻酔をして行います。
人間と違い、自分で行動はしないため、当然飼い主さんが手を尽くしてあげなければいけません。
早い段階で治療が始められるほど長く生きてくれますので、初期の症状を見逃さないようにしてあげましょう。
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