ワクチンは本当に3年に1回で良いのか?良くありません。(付け足しあり)
今までもそうですが、最近も、他の病院でワクチンは3年に1回で良いと言われた、という方がいらっしゃいました。
実際のところ、3年では駄目、というのが本当です。
免疫学の専門医の先生もおっしゃってましたが、今のコロナ禍からもわかるように、ワクチンを打つことで、自分自身の感染を抑えるだけでなく、他人への感染を防ぐことも、ワクチン接種が重要であるポイントです。
ここで、他人に広がらない、クラスターやパンデミックを起こさないワクチンの接種率というのは、その国全体の70%以上の人がワクチン接種している必要があると言われています。
当然のことながら、全体の70%がワクチンを接種していても、ワクチンを打ってない人が感染者に接触すれば、当然病気に感染します。
さらに重要なのは、ワンちゃん、猫ちゃんのワクチンの抗体価(病気への免疫)も、3年持ってくれる子から、1年持たない子もいること、さらに日本ではワンちゃん、猫ちゃんのワクチン接種率がワンちゃんでも30%ほど。
猫ちゃんでは野良猫もたくさんおり、下手をしたら10%を切っている可能性があることです。
免疫学の先生も、3年では危険性が高い旨を話していました。
ではどうすれば良いかというと、簡単なのは毎年ワクチンを打つこと。
ワクチンでのアナフィラキシーが怖い、という方もいらっしゃいますが、その場合はワクチン抗体価をチェックするなどして、問題なければ次の年に接種する、などすると良いでしょう。
また、猫ちゃん、ワンちゃんともに、パルボウィルスという、ふざけたレベルで空気感染する病気が存在することも問題です。
なんと、感染したワンちゃん、猫ちゃんが糞をした場所を3ヶ月後に人が歩いたとします。
そこで、靴底に付着したウィルスだけで、ワクチンを打ってないワンちゃん猫ちゃんへの感染が成立してしまいます。
しかもこの病気はしっかりと治療したうえで生存率50%という、非常に怖い病気です。
ブリーダーやペットショップでワンちゃんが全滅した、という経験を3度ほどしたことがあります。
その一方で、ワクチン免疫に対しては弱いらしく、このパルボウィルスはワクチンをしっかりと打っていれば、全く感染、発症しないのが特徴です。(ちなみに、他の病気は稀ではありますが、ワクチンを打っていても感染、発症することがあります。代表的なのは猫ちゃんの猫伝染性鼻気管炎、俗に言う猫風邪でしょうか。症状を和らげる効果は実証されていますが、感染源が近くにいるとワクチンを打っていても、軽度の症状が出ることが多いです)
この感染源というのは、猫風邪を引いていて可哀想と思った猫好きの飼い主さんが、近づいてウィルスを体に付着させて飼い猫ちゃんに移してしまう、ということが多いです。
猫ちゃんで、ワクチンのせいで腎不全になる可能性があるかもしれない、という論文が出ていますが、まだエビデンス(証拠固めのこと)が少なく、実際にワクチンで本当に腎臓にダメージが出ているかはしっかりと証明されていませんし、ワクチンを打たずに空気感染で猫風邪にかかって亡くなる猫ちゃんの方が多いかと思われます。
(人間とことなり、猫ちゃんは猫風邪にかかると、一切の餌を食べなくなる子が多く、若齢や老猫の場合は高確率で死んでしまいます)
ともかく3年に1回のワクチンで良いと言えるのは、ペット先進国と言われる、イギリス、スウェーデン、デンマークなど、ほぼ全頭のワンちゃん猫ちゃんがワクチンを打っている国だけでしょう。
特にワンちゃんから人間に感染する病気も存在しており、人が死亡した例も報告されています。
この病気、レプトスピラは7種以上のワクチンの中に含まれていますが、5種や6種ワクチンには含まれていませんので要注意です。
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