フィラリアの検査と予防に関して

よく勘違いしている方がいるので、投稿しました。
まず、今現在行っているフィラリアの検査は、ワンちゃんの体の中にフィラリアの成虫や、その成虫が生んだ大量の子虫がいるか、いないかを調べるものです。
ここでフィラリアがいなければ、これから蚊に刺されてフィラリアが体に入ってきたとしても、それは幼虫で、5月30日薬を飲ませれば、バッチリ駆除ができます。つまり予防薬と言われているのは、駆虫薬というのが本当です。

ところが検査により、体内のフィラリアの成虫、およびその成虫が生んだ大量の子虫がいることがわかった場合、駆虫薬を飲ませるのは危険性があります。
まず、大量の子虫。これが体内で死ぬと、ワンちゃんの体の中に、たくさんの虫の死骸がアレルゲンと同じ様な物質となって体にめぐります。
この結果、アナフィラキシーショックを起こし、低血圧や心停止を起こすこともあります。
フィラリアが陽性だった子にステロイドやビブラマイシンという薬を飲ませてから駆虫薬を使用するのは、このアナフィラキシーを起こさないようにするためです。

次に成虫です。
こちらは寄生している数が、その子の予後を決めることになります。
例えば、感染している成虫が一匹や二匹程度なら、徐々に弱らせて、少しずつ殺していくことで、肺の血管に死骸が詰まったり等でも、ほとんどダメージがなく退治できます。
これが大量感染だった場合、やたらに成虫を殺すと、大量の死骸が肺に詰まって呼吸困難になったり、心臓の弁に絡まって血液がうまく回らなくさせてしまいます。(この場合、首の血管から器具を入れて、心臓に絡まったフィラリアをとりだします)

上記のように、感染しても幼虫の間に退治してしまうのが、フィラリアの予防方法です。
蚊に刺されて体に入った幼虫(数匹)は簡単に退治できるから怖くない。
前の年に退治し忘れて、体の中で成虫になったフィラリアが生んだ幼虫(数万匹)は怖いのです。

今日もお友達の犬が予防をせずにフィラリアで死んでしまった方のお話をお聞きしました。
フィラリアは腫瘍や、ワクチンが効きにくい病気とはまったくことなります。
ほんの数十年前までは不治の病だったものが、投薬により完全に予防することが可能です。
薬をあげ忘れてフィラリアになる、なんてことはぜひ防いで上げましょう。

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