混合ワクチンは3年に1回?日本でそれを言っている獣医は勘違いをしています。

時々、他院でワクチンは3年に1回で良いから。
と説明された、という方が来院することがあります。
ですが、これは日本では完全な間違ったワクチン接種法になってしまいます。

もしかしたら、ニュースか何かの人間のワクチン接種に関する情報で、ウィルスパンデミックを防ぐには、全人口の70%以上の人間がワクチンを打っている必要がある、という内容を聞いたことがある人もいるのではないかと思います。
犬猫でも、これができてやっと3年に1回のワクチンでも良い!と言うことができます。

ペット先進国のアメリカでも、混合ワクチン接種の割合は75〜80%あるかどうかです。

30〜40%しか、ワクチン接種できていない日本では、3年に1回のワクチン、というのは3年間、ワクチンの効果がしっかりと残るほどの免疫力を持ったワンちゃん以外は、免疫力が足りずに病気にかかるのを放っておくのとほぼ変わりありません。

実際、つい先日、他市で開業している友人の病院に、超危険な病気であるパルボウィルスに感染した子が運び込まれ、結局助けられずに亡くなってしまいました。

話を聞くと、ペットショップの方針で、他のペットショップと異なり、親からの初乳(病気を防御してくれる抗体たっぷりの最初のお乳)を飲ませている子は無意味になる可能性のある、生まれて2ヶ月以内のワクチンは打っていなかったそうです。

感染した理由の可能性としては、母親が十分な抗体量を保持しておらず、子供に病気を防げるほどの抗体が移行していなかった、と考えて間違いないでしょう。
母親が十分な抗体量を保持していたか、その若いワンちゃんにワクチンを打っていれば防げた話ではないかと思います。

また、3年に1回のワクチン、というのは別の問題も存在しています。
もし、自分の家のワンちゃん、猫ちゃんが3年に1回しかワクチンを打っていなかったとして、その3年間の間に抗体価(抗体の量だと思ってください)が十分でなくなってしまった場合、感染源に出会ってしまったら、結局は伝染してしまうんです。

免疫学の先生にお話を聞いたところ、3年間、完全にワクチン抗体価が病気を防げるほどの量を維持できている子は、そこまで多くないとのことでした。
それどころか、ワンちゃんによっては1年間ですら十分な抗体価が残らない子も、ごくわずかですが、存在するとのことでした。

改めておさらいになりますが、ワクチン接種が3年に1回でも問題にならないのは、国全体で70%のワンちゃん猫ちゃんがワクチンを打っている場合。
また、これもあくまでパンデミックを防ぐための話しで、自分の飼っているワンちゃん猫ちゃんが、抗体価が足りなくなった状態で病気のワンちゃん猫ちゃんに接触、もしくは空気感染したら、国全体で70%のワクチン接種率を維持できていても病気になる。

以上です。人間の様に、高いワクチン接種率があれば、3年に1回でも何とかなるかもしれません。
ですが、ペット大国のアメリカでさえも、ワンちゃんのワクチン接種率は70%ちょっととギリギリ。人間のように上手くいっていないのが現状です。

もし、ワクチンを3年に1回で良いと言う獣医がいて、日本はワクチン接種率が70%を超えていないのに、それで問題ないのかどうか?と聞かれたら。
ちゃんとした答えが返ってくるのか疑問に思います。

0コメント

  • 1000 / 1000