ネコの三徴炎
これは猫ちゃんに認められる、肝臓、膵臓、十二指腸の3ヶ所が同時に炎症を起こす病気のことを言います。
この病気は大分前に発見されていたものではあるのですが、この3ヶ所が炎症を起こしても、猫ちゃんが異常を外見に見せることが少なかったため、こういう病気がある、ということがわかるまで時間がかかった、という経緯がある病気です。
では何故猫ちゃんなのか?
ワンちゃんはならないのか、ということについて説明していいます。
まず、ワンちゃんは膵臓の出口が二つ(膵管と副膵管)があるため、どちらかが一時的に詰まっても、もう片方が仕事をしてくれるため、問題になることがありません。
一方猫ちゃんは、この膵管が一本しかないため、ここが塞がると、膵臓の酵素が出ることができなくなり、酵素が膵臓内で活性化、膵炎を起こします。
膵炎を起こすと、大抵、すぐそばにある肝臓も一緒に炎症を起こしてしまいます。
何故かというと、猫ちゃんの膵管の構造の問題がになっています。胆管と膵管がつながっているんです。
これらの構造の問題から、十二指腸炎が起こると膵管の出口が炎症で締まり、膵炎を併発、同時に肝炎も一緒に起こしてしまうことになります。
この、肝炎、膵炎、十二指腸炎の3ヶ所が同時に炎症を起こすことを起こすため、三徴炎と言います。
症状の度合いは様々で、本人が痛みをあまり感じず、気がついたら慢性の膵炎、肝炎になっていた、ということもあるし、肝炎自体はそこまででもなくても、酷い膵炎を引き起こして、激痛で元気食欲を失うこともあります。
治療方法がまた厄介。なぜなら3ヶ所の炎症を治さなくてはならないのと、猫ちゃんが食欲不振(特に太ってる場合)になると、一つに前の健康なのに、肝臓の数値が高い猫、の中で書いた、脂肪肝になって黄疸を示してしまうこともあるからです。
こういう場合、強制給餌も必要になることがありますが、家での強制給餌はかなりの難しいでしょう。
そもそも、こうしたらいい、という明確な治療方法が存在していない、というのが問題ですね。
今まではステロイドで炎症を引かせて、ウルソで肝臓の状態を整える、といった方法が基本でした。
ですが、今現在ならば、ここでブレンダ(膵炎治療薬)を使用してみるのもありかと思います。
ブレンダは効能外使用方法として、腹膜炎や、別の部位の炎症を抑える効果もありますので、もしかしたら十二指腸、肝臓、膵臓の全ての炎症を治してくれるかもしれません。
炎症の起点がそもそも膵臓であることも、ブレンダが効果的である可能性を示しています。
三徴炎の診断自体はエコーで簡単にできるので、今後三徴炎を発見したらブレンダを使用してみても良いですね。
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